今回はレザーでOD缶のカバーを作ってみたいと思います。
OD缶というのは、キャンプや登山で使用するガス缶のことです。家庭でよく使う円柱型のガス缶をCB缶(カセットボンベ缶)と言うのに対して、ずんくりとした見た目のものをOD缶(アウトドア缶)と言います。
近年はアウトドア・キャンプブームだけあって、道具のラインナップが爆発的に増えています。各メーカーしのぎを削り商品開発している状況で、低価格・高機能なのが当たり前の世界になりつつあります。
そうなると差別化のためビジュアル面で勝負に出ようというメーカーが増加。その結果、ひと昔前には考えられなかったようなお洒落で洗練されたキャンプ道具が数多く登場しました。
そんな中ガス缶はと言うと、昔からほとんど姿を変えずそのままの外装を保ったまま…それもそのはず。だってガスボンベなんて消耗品なんだから、無駄なコストは切り捨てて当然。見た目なんて二の次でしょう。
結果としてキャンプ道具全体のビジュアルとガスボンベのそれとでギャップが生まれ、どうにもチグハグな世界観が演出されていることも多々あります。
そこで活躍してくれるのが、ガス缶カバーというわけです。ぴったりなデザインのカバーでガス缶を包めば、ビジュアルの統一されたキャンプを演出することができます。
また、防寒や耐衝撃の効果もあります。まぁ、おまけ程度なんですけど笑
というわけで、今回はOD缶のビジュアルを一気によくしてくれるレザーカバーを作って行きたいと思います。
OD缶カバーの製作
型紙作り
まずは型紙作りから始めましょう。
以下のような型紙を作りました。今回はこれで型紙を作りましょう。
下にあるボタンをクリックしpdfファイルをダウンロードしてください。
pdfファイルがダウンロードできたらA4紙に印刷してください。このとき印刷倍率が100%になっていることを確かめてください。
印刷できたら、厚紙に貼り付け切り取ります。
綺麗に円形に切り取れなかった場合は、サンドペーパーで調整して滑らかにするといい感じになります。
縫い穴の部分はあらかじめ丸ギリなどで穴を開けておきましょう。
これで型紙の完成です!
パーツの切り出し
今回はA4サイズ1.5mmのヌメ革を使って製作していきます。長方形のパーツAを2つに分割すれば、端切れなどでも作れると思います。
OD缶カバーを綺麗に仕上げるための、パーツを切り出すときのコツがあります。
言葉で説明するよりもイメージしやすいと思い、イラストにしました。
革を切るときは直角に刃を当てるのが基本ですが、今回のように立体的な曲面の場合は少し角度をつけて切る方がいいです。そうすることで縫い合わせたときの密着度が上がり、隙間なく仕上がります。
斜めに切った断面です。縫い合わせる部分はこれくらい角度をつけて切るといいです。縫い合わせない部分は、基本通り直角に切ってください。
長方形のパーツAは簡単に切れると思いますが、円形のパーツBは難しいかもしれません。特に内側の円は小さいのでゆっくり慎重に作業しましょう。
歪んでしまった場合は型紙と同様に、サンドペーパーを使って微調整を行ってください。
ヘリ落とし
縫い合わせない部分はヘリ落としで角を取っておきます。
玉捻で装飾しましたが、これは失敗でした…このあと行うウェットフォーミングと相性が悪かったようで、凹ませた部分が膨らんで戻ってしまいました笑
縫い穴あけ
今回はクロスステッチで縫うので、縫い穴は丸ギリを使った方が綺麗に仕上がると思います。菱ギリを使うと左右対称にならないので注意が必要です。
手縫い
いよいよ手縫いの時間です。
今回はクロスステッチで縫っていきます。クロスステッチでの縫い方など基本的なことはyoutubeなんかで検索するとわかりやすい動画が出てきますので、そちらを参考にしてみてください。
綺麗に縫うための簡単なテクニックを紹介します。
といっても、クリップで挟むだけなんですけどね笑
クロスステッチは縫い目をぴったり対称に揃えられると美しい模様になるのですが、これがなかなか難しい…
何よりもまず、縫い穴が綺麗に揃ってないといけません。なので、縫い穴を揃えたところをクリップで固定しつつ手縫いすると失敗が減ります。
片側をある程度縫い進めたら、逆側を縫い始めます。
ここまで縫えば穴がずれることはないので、クリップを外しても大丈夫です。
縫い終わりました。糸の始末には様々な方法がありますが、今回は瞬間接着剤で固定しました。ガス缶を収めたときに結び目がボコッと浮いてくるからです。
綺麗に縫ったつもりでも、多少のズレは生じてしまいます。縫い直すのも手ですが、ここは革を削って帳尻を合わせましょう。
さっきよりも一直線になりました。
パーツBを縫い合わせていきます。
仕上がりの縫い目を考え、斜めからスタートします。斜めなので縫い目が非常にズレやすいです。クリップが使える形でもないので、慎重に縫い進めましょう。
このとき、強く縫いすぎるとガス缶の形にフィットせず歪なカバーになってしまいます。なかなか力加減が難しいところです。
パーツA、Bの位置が固定されるまで片側を3つ縫っては、逆側を3つ縫うようにしていきます。全体の1/3ほど縫えばズレることはないので、一気に縫ってしまって大丈夫です。
縫い終わりました!
この状態では円柱型に近く、ガス缶にフィットしそうにありません。なので、ウェットフォーミングの要領で、ガス缶に形を合わせます。
ウェットフォーミング
あらかじめ霧吹きなどで満遍なく全体を濡らしたカバーをガス缶に被せます。
菱ギリやヘリ落としの持ち手など、革を傷つけない固めのもので縫い目の部分を押し込んでガス缶に密着させます。
どうでしょうか。かなりガス缶の曲線にフィットしたと思います。
持ち手を押し当てた時に縫い目がズレるので、綺麗に整えれば形成完了です。
革と革の間が少し空いていますが、これくらいは大目に見ましょう。
完成
しっかり乾燥させた後、オイルを縫ってなじませて完成です。
ヌメ革に茶色のステッチが最近のお気に入りです。ガス缶むき出しの無骨な感じも好きですが、レザーカバーを付けるとお洒落な雰囲気が出ていいですね。
まとめ
今回はレザークラフトでOD缶のカバーを作ってみました。
好みの色のレザーと糸を使えば、自分だけのオリジナルのカバーが出来上がり、OD缶に愛着が湧いてくると思います。
必要な道具やテクニックが少ないので、初心者の方でも挑戦しやすい作品だと思います。特にクロスステッチのいい練習になるのではないでしょうか。
ぜひ、型紙をダウンロードして作ってみてください!
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